FXの期待値とは?計算方法と上げるコツ

FXの期待値とは?計算方法と上げるコツ
「勝つ回数は多いのに、なぜかお金が減っている」。そんな時は、FXの期待値を見てみましょう。
小さく勝って、ときどき大きく負けていれば、勝率が高くても利益は残りません。反対に、負ける回数の方が多くても、合計ではプラスになることがあります。
この記事では、期待値の計算方法と、損失・利益・勝率をどう見直すかを説明します。
目次FXの期待値とは?
FXの期待値は、一回の取引で平均してどれくらい利益や損失が出るかを表す数字です。
例えば、100回の取引で合計5万円の利益が出たなら、一回あたりの平均は500円です。これが、その100回の取引から計算した期待値になります。
もちろん、次の取引で500円勝てるという意味ではありません。大きく勝つ時も、負けが続く時もあります。期待値を見るのは、一回の勝敗では分からない、取引全体の成績を知るためです。
期待値の計算方法
期待値は、勝率、平均利益、平均損失の三つで計算できます。まずは、勝ちと負けだけがある場合で考えましょう。
平均利益は、勝った取引の利益を足して、勝った回数で割った金額です。平均損失も同じように、負けた取引だけで計算します。損失はマイナスを外した金額を使います。
例えば、次の成績ならどうなるでしょうか。ここでは取引コストを含めません。
- 勝率:40%
- 負ける確率:60%
- 平均利益:2万円
- 平均損失:1万円
0.4 × 2万円 − 0.6 × 1万円 = 2,000円
期待値は、一回あたりプラス2,000円です。100回で40勝60敗、利益と損失もこの平均どおりなら、合計で20万円の利益になります。
コストを忘れずに入れる
上の例で、一回あたりの取引コストが平均500円なら、期待値は1,500円に下がります。スプレッド、手数料、スワップなども含めて確かめましょう。
すでにコストを引いた損益を使っている場合は、同じコストを二度引かないようにしてください。
取引履歴から計算するなら、もっと簡単
コストを含めた合計損益 ÷ 全取引回数でも、一回あたりの平均が分かります。
建値で終わった取引も、一回に数えます。建値の取引がある場合、負ける確率は単純に「100% − 勝率」ではないので、この計算方法が分かりやすいでしょう。なお、建値でもコストでマイナスになれば、損益にはその金額を入れます。
勝率が高くても、お金が減るのはなぜ?
よく勝っていても、一回の負けが大きいと利益は残りません。次の二つを比べてみましょう。
| 例 | 勝率 | 平均利益 | 平均損失 | 期待値 |
|---|---|---|---|---|
| A | 70% | 5,000円 | 15,000円 | −1,000円 |
| B | 40% | 20,000円 | 10,000円 | +2,000円 |
Aは勝率70%でも、一回あたりの期待値はマイナスです。Bは負ける回数の方が多くても、期待値はプラスです。
大切なのは、何回勝ったかだけでなく、勝つ時にいくら取り、負ける時にいくら失ったかです。
勝率を上げることだけにこだわると、小さく利確して、大きな損失を抱える取引になりがちです。三つの数字を一緒に見ましょう。
利益と損失の大きさで、必要な勝率は変わる
平均利益が平均損失と同じなら、コストを除くと勝率50%で収支がゼロになります。利益が損失の2倍なら、勝率は約33.3%です。
| 平均利益 ÷ 平均損失 | 収支がゼロになる勝率 |
|---|---|
| 0.5倍 | 約66.7% |
| 1倍 | 50% |
| 1.5倍 | 40% |
| 2倍 | 約33.3% |
| 3倍 | 25% |
計算式は「平均損失 ÷(平均利益 + 平均損失)」です。利益を残すには、表の勝率を上回る必要があります。実際にはコストもかかるので、必要な勝率はもう少し高くなります。
ここで使うのは、実際の平均利益と平均損失です。「損切り20pips、利確40pips」と予定していても、毎回10pipsで利確していれば、利益が損失の2倍とは言えません。
期待値を上げるなら、何から直す?
期待値を上げる方法は、主に三つあります。
- 負ける時の損失を小さくする
- 勝つ時の利益を大きくする
- 勝率を上げる
迷ったら、まず損失、次に利益、最後に勝率の順で見直してみましょう。損切りを先延ばしにしたり、予定より早く利確したりする癖があるなら、そこから直せます。
勝率を上げるには、どの場面で入るかを調べ直す必要があります。その前に、今のルールを守るだけで改善できる点がないか、確認するわけです。
ただし、誰にとってもこの順番が一番簡単とは限りません。すでに損切りと利確をルールどおりにできているなら、エントリーの見直しから始めてもよいでしょう。
1. 負ける時の損失を小さくする
まずは、予定より大きく負けた取引を見てください。損切りを遠ざけていないか、取り返そうとしてロットを上げていないかを確認します。
例えば、勝率40%、平均利益2万円、平均損失1万5,000円なら、期待値は−1,000円です。勝率と平均利益が同じまま、平均損失を1万円にできれば、期待値は+2,000円になります。
損切りの先延ばしが多い人は、まず決めた位置で損切りする練習をしましょう。
損切り幅は、狭ければよいわけではない
損切りを近づけすぎると、少し逆に動いただけで負けるようになります。一回の損失が減っても、負ける回数が増えれば逆効果です。
例えば、勝率50%、平均利益1万円、平均損失8,000円なら、期待値は+1,000円。損切りを狭めて平均損失が5,000円になっても、勝率が30%まで下がり、平均利益が同じなら、期待値は−500円です。
先に「どこまで動いたら、この取引の考えが外れたと言えるか」を決めます。その損切り位置までの幅に合わせて、ロットを調整しましょう。
ロットを下げれば金額のリスクは減りますが、利益も小さくなります。それだけで、マイナスの期待値がプラスになるわけではありません。
2. 勝つ時の利益を大きくする
「少し利益が出ると、なくなるのが怖くて決済してしまう」。そんな人は、実際の利確と、ルールどおりに持った場合を比べてみましょう。
勝率40%、平均利益1万5,000円、平均損失1万円なら、期待値はゼロです。同じ勝率と平均損失で、平均利益を2万円にできれば、期待値は+2,000円になります。コストを引く前の計算です。
まずは日誌に、決済した理由を書いてみてください。「決済条件に達した」のか、「含み益が減って怖くなった」のかで、直すことが変わります。
利確目標を遠くにするだけでは、うまくいかないこともある
遠い目標まで待つと、大きく勝てる時もあります。ただ、届く前に反転して、負ける取引が増えるかもしれません。
例えば、勝率50%、平均利益1万5,000円、平均損失1万円なら、期待値は+2,500円です。平均利益が2万5,000円に増えても、勝率が30%に下がり、平均損失が同じなら、期待値は+500円に下がります。
どこまで伸ばすとよいかは、自分の取引で確かめましょう。一部を利確する方法や、値動きに合わせて決済する方法も、同じ期間で比べてみると違いが分かります。
3. 勝率を上げる
勝率を見直す時は、「どんな取引で負けているか」から調べます。
- 横ばいの相場で、無理に入っていないか
- 苦手な時間帯や通貨ペアはないか
- 条件がそろう前に注文していないか
- 負けた直後に、焦って入り直していないか
例えば、焦って入った取引を分けて集計し、全体の成績を下げているか確認します。下げているなら、次はその売買を防ぐルールを試します。
横ばいの相場を避ける場合も、後からチャートを見て判断するだけでは不十分です。その場で分かる条件を決めて、別の期間でも試してみましょう。
なお、小さな利益ですぐ決済すれば、勝率は上がるかもしれません。でも、平均利益が減れば期待値が下がることもあります。勝率だけをよくしようとせず、利益と損失も計算し直してください。
取引コストと、売買の回数も見直そう
小さな値幅を狙う取引では、コストの影響が大きくなります。利益が出ているつもりでも、スプレッドや手数料を引くと、ほとんど残らないことがあります。
スプレッドが広がる時間帯や、急な値動きで予定より不利な価格になった取引も見ておきましょう。バックテストでも、いつも希望した価格で注文が通るとは考えないことが大切です。
また、期待値がマイナスのまま回数を増やしても、改善にはなりません。何となく入った取引が多いなら、まずそこを減らせないか考えてみてください。
ただし、取引を絞ると機会も減ります。一回あたりの期待値だけでなく、一週間や一か月でいくら残ったかも確認しましょう。
変えたルールは、過去チャートとデモで試す
ルールを変える時は、一つずつ試します。損切り、利確、入る条件を全部変えると、どの変更がよかったのか分からなくなります。
- 今の勝率、平均利益、平均損失、コストを集計する
- 直したい点を一つ選ぶ
- 新しいルールを書いて、過去チャートで試す
- 変更前と変更後の期待値を比べる
- まだ調べていない別の期間でも試す
- デモ取引で、実際にそのルールを守れるか確認する
過去の負けだけを都合よく外せば、成績はよく見えます。先の値動きを見ずに判断し、勝ちも負けも記録しましょう。
取引日誌には、入った理由、利確と損切りの予定、ロット、実際の損益、ルールを守れたかを残します。ルールを変える前後の記録は分けておくと、比べやすくなります。
ロットが違う取引を比べるには?
金額だけで比べると、大きなロットで行った取引の影響が強くなります。そこで、最初に決めた損失額を「1R」として見る方法があります。
予定した損失額が1万円なら、利益2万円は+2R、損失1万円は−1Rです。取引ごとの損益を、その取引で予定した損失額で割ります。
このRの平均も出しておくと、ロットが違っても、予定したリスクに対してどれくらい利益が残ったかを比べられます。コスト込みで見る場合は、使う損益にもコストを含めましょう。
期待値がプラスでも、連敗はある
期待値は平均なので、毎回そのとおりにはなりません。プラスの手法でも、連敗して資金が減る時期はあります。
過去の検証では、期待値に加えて、何連敗したか、資金がどれくらい減ったかも見てください。それ以上の負けが起こる可能性も考え、無理のないロットにします。
数回の大きな勝ちだけで、平均がプラスになっている場合もあります。少ない取引だけで判断せず、違う期間や相場でも調べましょう。何回あれば必ず十分、という数はありません。
また、相場が変われば成績も変わります。想定より悪い結果が続くなら、取引量を減らすか休んで、記録を見直しましょう。
まずは、自分の期待値を出してみよう
FXで利益が残るかは、勝率だけでは分かりません。平均利益、平均損失、取引コストまで見る必要があります。
まずは同じルールで行った取引を集め、コストを含めた合計損益を取引回数で割ってみましょう。
改善するなら、予定より大きな損失がないか、早く利確しすぎていないかを確認します。その後で、入る条件も見直してみてください。
一度に全部を変えず、まずは一つ。変えた後の数字を比べながら、自分の取引を直していきましょう。


