雇用統計が悪いとどうなる?為替・株価への影響やトレード対策を解説
アメリカの雇用統計は、為替や株式市場に影響を与える重要な経済指標として世界中の投資家から注目されています。特に雇用統計の結果が市場予想を下回った場合、ドル円相場や日米の株式市場は激しく変動することがあります。
発表直後の数分間で1円以上も動くこともあり、トレーダーにとってはチャンスであると同時にリスクも伴う重要なイベントといえるでしょう。
この記事では、雇用統計が悪化した際に為替・株価がどのように動くのか、そのメカニズムを詳しく解説します。また、指標発表時の急変動に備えたトレード対策や、リスクを抑えながら経済指標への対応力を磨く方法についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
アメリカの雇用統計とは
アメリカの雇用統計は、米国労働省労働統計局が原則として毎月第1金曜日に発表する、米国の労働市場の状況を示す経済指標です。
この統計には非農業部門雇用者数や失業率、平均時給など十数項目のデータが含まれており、中でも非農業部門雇用者数と失業率は特に市場の注目を集めます。
米国では個人消費がGDP(国内総生産)の約7割を占めており、雇用情勢は個人の所得や消費活動に直結します。そのため、雇用統計は米国経済の健全性を測る重要な指標であり、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策決定にも影響を与えることから、世界中の投資家が注目しています。
発表時間は夏時間は日本時間21時30分、冬時間は22時30分となっており、発表直後は為替や株式市場が変動する傾向があります。
「雇用統計が悪い」とは具体的にどのような状態か
雇用統計を評価する際、最も重要なのは「数値の良し悪し」よりも「事前の市場予想との乖離」といえます。
証券会社などのエコノミストによる予想の平均値(コンセンサス予想)と実際の発表値を比較し、予想を下回れば「悪化」、上回れば「改善」と判断されることが一般的です。予想との乖離が大きいほど市場へのインパクトも大きくなり、為替相場は急激に変動します。
以下では、雇用統計の主要な3つの指標について解説します。
非農業部門雇用者数(NFP)の増加が少ない
非農業部門雇用者数(NFP)は、農業以外の産業で働く就業者の増減数を示す指標です。
この数値が市場予想を下回ると、企業の採用活動が鈍化し景気が冷え込んでいるサインと受け止められます。
たとえば2025年7月の雇用統計では、NFPが前月比7.3万人増と市場予想の10.4万人増を大幅に下回り、さらに過去2カ月分も大幅に下方修正されました。このような結果は、景気後退(リセッション)への警戒感を強める要因となります。
失業率が上昇している
失業率は、労働力人口に対する失業者の割合で定義され、職を求めているが見つからない人の割合を示します。失業率が予想より悪化すると、経済全体の停滞を示すシグナルとして受け止められ、ネガティブな材料となります。
ただし、失業率の算出には注意点があります。労働の意思のない人は労働力人口から除外されるため、求職活動をしていない人は失業率に反映されません。
そのため、失業率だけでは労働市場の実態を完全には把握できないこともあるため、他の指標と合わせて総合的に判断することが重要です。
平均時給の伸びが弱い
平均時給は、労働者の賃金上昇率を示す指標で、前月比と前年同月比の2つの形式で発表されます。前月比は賃金の短期的な変動を、前年同月比は長期的なトレンドを把握するために活用される指標です。
平均時給の伸びが予想よりも低い場合、賃金上昇が鈍化していることを意味し、個人消費の減速につながる可能性が高まります。
賃金が伸び悩むと、物価上昇(インフレ)の圧力が弱まる一方で、消費者の購買力も伸び悩むため経済成長にはマイナス要因です。FRBは平均時給の動向を注視しており、賃金上昇が抑制的であれば利下げの根拠となることがあります。
雇用統計が悪いとどうなるのか【株式市場への影響】
雇用統計が悪化した場合、為替市場や株式市場にはさまざまな影響が生じます。以下では、主要な市場への具体的な影響について解説します。
【為替】利下げが意識され、米ドルが売られやすくなる
雇用統計が悪化すると、「景気が悪化しているならFRBは政策金利を下げるはず」という観測が市場に広がり、利下げ期待が高まります。
FRBは雇用の最大化と物価の安定を使命としているため、雇用情勢の悪化は金融緩和政策への転換を促す重要な判断材料となります。金利が低下すると、金利がつかない米ドルを保有するメリットが薄れるため、投資家はドルを売る動きを強めるでしょう。
その結果、相対的に円が買われ、ドル円相場は下落(円高)方向に動きやすくなります。実際に2025年7月の雇用統計発表時には、ドル円相場が一時1ドル=147円30銭水準まで円高が進行しました。
また、米国の長期金利も低下する傾向にあり、日米金利差の縮小がさらに円高を促進する要因となります。
【米国株】景気悪化を警戒して下落、または利下げ期待で上昇
雇用統計が悪化した場合、米国株の反応は市場のテーマによって異なることがあります。単純に不景気として受け止められれば、企業業績への懸念から株価は下落します。特に雇用者数の減少は個人消費の低迷を示唆し、米国経済の約7割を占める個人消費の減速は企業収益を圧迫する要因となります。
一方で、雇用統計の悪化が株価上昇につながるケースもあります。「景気が悪化しているならFRBが利下げに動くはず」という期待が高まり、金融緩和による企業の資金調達コスト低下を見込んで買いが入るためです。
このように、雇用統計の悪化が「景気後退への警戒」として受け止められるか、「利下げ期待」として好感されるかは、そのときの市場環境によって異なります。同じ悪材料でも株価への影響が真逆になる可能性があるため、注意が必要です。
【日本株】円高が進み、輸出関連株が不利になりやすい
雇用統計の悪化によってドル円相場が下落(円高)すると、日本の輸出企業にとっては利益の目減りが懸念されます。特に自動車や機械関連など、海外での売上比率が高い企業の銘柄を中心に売り注文が出やすくなるでしょう。
さらに、米国株安と円高のダブルパンチにより、日経平均株価は下落しやすい状況になります。実際に2025年8月には、雇用統計の悪化を受けて週明けの日本株式市場で株安が進み、日経平均株価が一時4万円を下回る場面が見られました。
このように、雇用統計の悪化は日本株にとっても影響が及ぶ重要な指標といえるでしょう。
雇用統計が悪いときにトレーダーが取るべき対策
雇用統計の発表時には相場が激しく変動するため、適切な対策を講じることが重要です。以下では、トレーダーが取るべき具体的な対策について解説します。
発表直前にポジションを調整する
雇用統計の発表時には、予想外の結果により相場が急変動するリスクがあります。そのため、発表直前に保有ポジションを調整し、ロスカットを防ぐことが重要です。
特に、レバレッジをかけた取引では、わずかな値動きでも証拠金維持率が変動するため注意が必要です。できれば、保有ポジションをすべて決済し、スクエア(ポジションがない状態)にしておくとよいでしょう。どうしても持ち越す場合は、取引量を落とし、リスクを最小限に抑える工夫が求められます。
また、発表前にストップロスの設定を見直し、想定外の損失を防ぐ準備も欠かせません。
発表後の初動は見送る
雇用統計の発表直後の数分間は、AIによる高速取引などで「だまし」の乱高下が発生することがあります。「上がったと思って買ったら急落」という事態を避けるため、最初の荒波が収まるまで様子を見ることが重要です。
発表直後は取引量も急増し、スプレッドが通常よりも広がることがあるため、不利な価格での約定を避けるためにも慎重な判断が求められます。
発表から時間が経過し、相場の方向感が明確になってからエントリーするほうが、冷静な判断ができるためリスクを抑えられます。
一般的に、発表後30分から1時間程度経過すると相場は落ち着きを取り戻し、トレンドが明確になることが多いといわれています。
リスクリワードを徹底する
リスクリワードとは、1回のトレードで想定する損失と利益の比率を表す指標で、「期待利益÷期待損失」で計算します。たとえば、利確目標を2万円、損切りラインを1万円に設定した場合、リスクリワードは「2」です。
この指標が大きければ、1回の利益が損失を上回るため、勝率が多少低くても収支をプラスに保ちやすくなります。逆に小さい場合は、勝ち続けなければ利益が残らない「損大利小」のトレードになりがちです。理想的な水準は2〜3程度とされています。
たとえば、リスクリワード1(利確1万円・損切り1万円)で10回取引すると、勝率50%では収支がプラスマイナスゼロになり、利益を出すには60〜70%以上の勝率が求められます。
これに対し、リスクリワード3(利確3万円・損切り1万円)であれば、勝率40%でも期待利益12万円に対して期待損失は6万円にとどまり、6万円のプラスが見込めます。
リスクリワードの特徴を理解し、雇用統計前後の値動き、自身の資産状況や期待リターンを考慮した設定を心がけましょう。
また、雇用統計発表時はスプレッドが広がりやすいため、損切りラインと利確目標をエントリー前に決め、コスト負けしない値幅を狙うことが重要です。感情に任せた「飛び乗り」や「ナンピン」は避け、計画的なトレードを実践することも大切です。
リスクを抑えて雇用統計トレードを学ぶならFintokei
雇用統計のような重要指標の発表時には、相場が激しく変動するため、実際のお金(リアルマネー)を使ったトレードにはリスクが伴います。
そこで、リスクを抑えながら経済指標への対応力を磨きたい人におすすめなのが、プロップトレーディング会社「Fintokei(フィントケイ)」です。
ここでは、Fintokeiの特徴についてご紹介します。
実資金を使わずにトレードを体験できる
Fintokeiでは、すべての取引がデモ環境で行われるため、自己資金を失うリスクがゼロです。雇用統計のような重要指標の発表時に、どのように相場が動くのかを実際に体験しながら学ぶことができるため、初心者でも安心して挑戦できます。
実際の市場レートを使用したデモ口座で取引を行うため、リアルな環境でトレードスキルを磨けることが特徴です。
また、評価プロセスをクリアしてプロトレーダーに認定されれば、最大5,000万円のデモ口座で取引でき、デモ取引の利益を基に80%のデータ提供料を受け取ることも可能です。
失敗を恐れずに、何度も検証できる環境が整っている点が魅力といえるでしょう。チャレンジプランは数万円から始められるため、少額の自己資金でも大きな資金を運用する体験ができます。
動画コンテンツで経済指標の動向がわかる
Fintokeiでは、会員限定の「デイリーマーケットニュース」などの教育コンテンツを提供しており、雇用統計をはじめとする注目指標を事前に予習できます。プロの解説動画を通じて、ファンダメンタルズ分析の基礎を学びながら、実際の市場の動きを理解することができます。
「なぜ市場が動いたのか」を学びながらスキルアップできる環境が整っているため、経済指標への対応力を着実に高めることができます。雇用統計のような重要指標の発表時にも、冷静に判断できるトレーダーを目指しましょう。
まとめ
雇用統計が悪化した際の影響として、利下げ期待によるドル売り・円高の進行、米国株の下落または利下げ期待による上昇、日本株の円高による輸出関連株の下落などが挙げられます。
こうした影響を理解し、発表直前のポジション調整や初動の見送り、リスクリワードの徹底といった対策を講じることが重要です。経済指標への理解を深めることで、相場の急変動にも冷静に対応できるトレーダーを目指せます。
Fintokeiのデモ環境を活用すれば、実資金を失うリスクなく雇用統計発表時の相場変動を体験し、対応力を磨くことができます。プロの解説動画や教育コンテンツを通じて、経済指標の見方やトレード判断のスキルを向上させましょう。
デモ環境だからこそ、失敗から学び、改善を重ねることで着実にスキルアップが可能です。経済指標への理解を深め、冷静なトレード判断ができるトレーダーを目指すなら、Fintokeiの活用をご検討ください。