ラルフ・ビンスの資金管理法とは?具体的な実践方法も徹底解説

トレードにおいて資金管理をすることは長期的にトレードを続けていくためには不可欠であり、さまざまなトレーダーが資金管理方法を確立しています。

ラルフ・ビンスは、トレーディング業界で活躍した世界的な有名なトレーダーであり、彼が確立した資金管理方法はラルフ・ビンスの資金管理法として知られています。

「ラルフ・ビンスの資金管理法の特徴は?」

「ラルフ・ビンスの資金管理法は現在でも使えるのか?」

ラルフ・ビンスの資金管理法と聞くと、上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

この記事では、ラルフ・ビンスの資金管理法について以下の5つの項目で詳しく解説していきます。

  • ラルフ・ビンスとは?
  • ラルフ・ビンスの資金管理法3つの特徴?
  • ラルフ・ビンスの資金管理法から学べること
  • ラルフ・ビンスの資金管理法の実践方法
  • ラルフ・ビンスの資金管理法の実践する際の3つの注意点

ラルフ・ビンスの資金管理法を実際のトレードで実践する方法も紹介しているので、是非参考にしてみてください。

ラルフ・ビンスとは?

ラルフ・ビンスは、大口の先物トレーダーやファンドマネジャーとしてトレーディング業界で活躍し、現在でも世界中の多くの人に名が知られている有名トレーダーです。

またプログラマーとして多数のトレーディングソフトウエアの開発にも携わったことでも知られています。

ラルフ・ビンスは数学的な方法論から資金管理方法を確立し、「ラルフ・ビンスの資金管理大全 最適なポジションサイズとリスクでリターンを最大化する方法」という書籍にもなっています。

ラルフ・ビンスの資金管理法3つの特徴

ラルフ・ビンスが確立した資金管理方法は、現在でも多くのトレーダーに利用されています。

ラルフ・ビンスの資金管理方法には以下の3つの特徴があります。

  • ドローダウンをもとにリスクを計算する
  • 最適なポジションサイズを算出する
  • 利益を再投資する

その1:ドローダウンをもとにリスクを計算する

ラルフ・ビンスの資金管理方法では、ドローダウンをもとにリスクを計算します

ドローダウンとは、ポートフォリオや投資商品の価値が最高値からどれだけ下落したか、つまり投資家がどれだけの損失を出したかを示す指標です。

従来はリターンの分散をもとにリスクが計算されていましたが、ラルフ・ビンスの資金管理方法では視点を180度変えてドローダウンをもとにリスクを計算しています。

このようにラルフ・ビンスの資金管理方法はドローダウンの概念を変えたことでも知られています。

ドローダウンとは?許容すべき目安や抑える方法を解説

その2:最適なポジションサイズを算出する

ラルフ・ビンスの資金管理方法では、最適なポジションサイズを算出することを重要視しています。

1回のトレードにどのくらいの資金を投入するのかを計算することこそが、利益を最大化させるための資金管理として重要だとされています。

ラルフ・ビンスはポジションサイズを算出する方法として、「オプティマルf」という数式を利用しました。

オプティマルfとは?

オプティマルfの計算方法は以下の通りです。

  • 全てのトレードの損益履歴を用意する
  • 「1 + f × ( -1 × 損益 ÷ 最大損失 )× f」を全ての損益履歴にあてはめて計算する
  • 上記の式が最大値となる「f」がオプティマルfとなる

そして、オプティマルfを利用した以下の式で算出される答えが最適なポジションサイズとなります。

最適なポジションサイズ = 総資産 ÷ ( 最大損失 ÷ -1 × オプティマルf )

その3:利益を再投資する

ラルフ・ビンスは、リスクを管理するだけでなく、利益を再投資することも重要視しました。

トレーダーは、利益を再投資することで元の投資額に加えて、利益に基づく追加のリターンを得ることができ複利効果を受けることができます

利益を再投資する場合は、リスク管理をさらに考慮しなければいけませんが、長期的にポートフォリオの成長を促進するためには、再投資が欠かせないのです。

ラルフ・ビンスの資金管理法から学べること

ラルフ・ビンスは数学的な理論をもとに、トレーディング業界で従来まで使われていた理論とは異なる資金管理方法を確立しました。

ラルフ・ビンスの資金管理法から学べることは以下の2つです。

  • リスクは損失をもとに計算する
  • ポジションサイズの最適化

その1:損失を基準としたリスクマネジメント

100%の勝率のトレードはなく、トレードには常に不確実性が伴うため、実際に取引を行う際にはリスクを計算する必要があります。

リスクを評価するための指標として、勝率やボラティリティ(変動幅)、利益の変動幅などがありますが、損失を基準にリスクは計算しなければいけないのです。

損失をもとにしたリスクマネジメントをすることこそが、資金管理で最も重要なことなのです。

その2:ポジションサイズの最適化

ポジションサイズを自身の取引スタイルや許容損失に合わせて最適化することが重要です。

ラルフ・ビンスはオプティマルfという数式を利用して最適なポジションサイズを算出していましたが、数式を使わなくても、ポジションサイズの最適化は可能です

例えば、一度のトレードの損失、損切り位置が決まっていれば、一度のトレードの損失を損切り位置までの値幅で割ることで、最適なポジションサイズを計算できます。

ポジションを保有しすぎたり、逆に保有しなさすぎたりすることのないように、ポジションサイズを最適化することが重要なのです。

ラルフ・ビンスの資金管理法の実践方法

ラルフ・ビンスの資金管理を学んだ上で、トレードですぐにでも実践できる資金管理方法として以下の3つがあります。

  • 1トレードの損失額を事前に計算する
  • 損失をもとにポジションサイズを計算する
  • 取引結果に応じて調整を行う

それぞれについて詳しく解説していきます。

その1:1トレードの損失額を事前に計算する

ラルフ・ビンスの資金管理方法では、損失を基準としたリスクマネジメントをすることが重要です。

したがって1トレードの損失額を事前に計算しておくことでリスクマネジメントが可能となります。

事前に損失額を計算しておくことは、リスクをコントロールすることができる上に、メンタルを安定させるという面でも役立ちます。

損失を自身が許容できる損失額に限定しておくことで、大きな損失を抱えずに済み、損益に惑わされずに常に冷静な判断ができるようになるのです。

1トレードの損失額の目安について分からないという方は、1回の損失額をトレード資金の2%に設定する「2%ルール」を活用することをオススメします。

2%ルールについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

資金管理の2%ルールとは?利用するメリットや実践方法を解説!

その2:損失をもとにポジションサイズを計算する

ラルフ・ビンスの資金管理方法では、最適なポジションサイズを計算することも重要であるとされています。

ポジションサイズは以下の方法で計算できます。

ポジションサイズ = 1トレードの損失額 ÷ 損切りまでの値幅

自身に最適な1トレードの損失額を決定しておくことで、損切りまでの値幅さえ定まれば、最適なポジションサイズが簡単に計算できるのです。

損切りまでの値幅はテクニカル分析やファンダメンタル分析で定める必要がありますが、損失額を事前に定めておくことがいかに重要なのかがわかったことでしょう。

テクニカル分析とファンダメンタル分析どっちを使うべき?使い分け方を解説!

その3:取引結果に応じて調整を行う

資金管理方法に従って何度かトレードを繰り返したら、取引結果を確認してみるようにしましょう。

トレードがうまくいっていれば継続したらよいのですが、うまくいっていない場合は、資金管理方法が自身の取引スタイルに合っていない可能性があります。

例えば、あまりにもトータルの損失が大きすぎる場合は、1トレードの損失額を減らしたり、損切りまでの値幅が正しいかどうか再確認したりする必要があります。

何度も資金管理方法を変えることは良くないですが、ある程度試行回数を重ねたうえで資金管理方法の調整をすることは非常に有効です。

ラルフ・ビンスの資金管理法の実践する際の3つの注意点

最後にラルフ・ビンスの資金管理法の実践する際に注意すべき、以下の3つの点について詳しく解説していきます。

  • 資金管理ルールは必ず守る
  • リスクリワードレシオを意識する
  • メンタルを安定させる

その1:資金管理ルールは必ず守る

ラルフ・ビンスの資金管理法では、まずリスクを計算することから始まります。

リスクの計算方法として、1トレードの損失額を事前に計算することが、リスク管理の面やポジションサイズを決定するためにも大切です。

資金管理方法の効果を最大限発揮するためにも、トレード前に一度きめた損失額、損切り位置は変えないようにしましょう。

資金管理ルールは、トレーダーが自分の資金を守るために自身に課すルールです。

長期的にトレードで資金を守り続けるためには、ルールをしっかりと守ることが重要なのです。

トレードで成功する秘訣はトレードルールを守ること|それでも守れない原因は?

その2:リスクリワードレシオを意識する

ラルフ・ビンスの資金管理法は、損失に焦点をあててリスクを算出することを重要視していますが、利益も同時に考慮することでよりトレードの成功確率を高められます。

したがって利益と損失の割合であるリスクリワードレシオを高めることを意識して、1つ1つのトレードでリスクリワードレシオも計算することが大切なのです。

またラルフ・ビンスは再投資にも注目していました。

トレードに成功し、さらにリスクリワードレシオの高いトレードへ利益を再投資することでより大きなリターンを期待できるようになるのです。

トレードにおけるリスクリワードの重要性|計算方法や理想の値

その3:メンタルを安定させる

資金管理ルールをしっかりと守ってトレードを続けていくためには、メンタルを常に安定させて、冷静な判断をすることが大切です。

確立した資金管理方法であってもメンタルが安定していない状態では、冷静な判断ができずうまく使いこなせません。

資金管理の効果を最大限発揮するためにも、常にメンタルを安定させることを意識するようにしましょう。

メンタルの安定を保つためには、適切な休息やトレードを行う前の準備、過去のトレードの失敗を分析して対策を立てることなどが有効です。

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まとめ

ラルフ・ビンスの資金管理法について、資金管理方法の特徴から実践のトレードで使える資金管理法、資金管理を実践する際の注意点まで詳しく解説しました。

ラルフ・ビンスの資金管理法では、損失をもとにリスクを判断すること、最適なポジション数量を計算することを重要視しています。

ラルフ・ビンスの資金管理法を実践する際には、事前に損失額を計算しておくことが特に重要になります。

損失額を事前に計算することで、初めて自身の取引に最適なポジション数量を計算できるようになるのです。

ラルフ・ビンスの資金管理法以外にも、トレード全般で活用できる資金管理方法について、以下の記事で詳しく解説しているので、是非参考にしてみてください。

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