マルチタイムフレーム分析(MTF分析)とは?やり方やコツを解説!
「マルチタイムフレーム分析」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどうトレードへ活かせば良いのか分からず、悩んでいる方は多いでしょう。
トレードの成績を安定させるには、感覚に頼るのではなく、一定の根拠に基づいた判断が欠かせません。マルチタイムフレーム分析は、複数の時間足を組み合わせることで、相場の大きな流れと短期的な値動きを同時に把握し、より精度の高い取引を目指す手法です。
この記事では、マルチタイムフレーム分析の基礎知識や具体的なやり方、実践する上でのコツについて詳しく解説します。
マルチタイムフレーム分析(MTF分析)とは
マルチタイムフレーム分析(MTF分析)とは、複数の時間足を組み合わせて相場を分析する手法です。
FXやCFDなどのトレードでは、1分足や5分足といった短期足から、日足や週足といった長期足まで、さまざまな時間軸でチャートを確認できます。マルチタイムフレーム分析では、一つの時間足だけでなく、複数の時間足を同時に見ることで、相場の全体像を把握しながらエントリーポイントを探ります。
例えば、日足で上昇トレンドが発生していても、1時間足では一時的な下落局面にあるケースは珍しくありません。こうした状況を把握していれば、日足の上昇トレンドに乗るために、1時間足の下落が終わるタイミングを狙って買いエントリーを入れるといった戦略を立てられます。
複数の時間足を分析すれば視野が広がり、より精度の高いチャート分析ができるようになるでしょう。
マルチタイムフレーム分析はいらない・意味ないって本当?
マルチタイムフレーム分析に対しては、「いらない」「意味ない」といったネガティブな意見も見られます。こうした意見が生まれる背景には、以下のような理由が考えられます。
- あくまでもテクニックの一つに過ぎない
マルチタイムフレーム分析は相場全体の流れを把握するための手法であり、どんな局面や銘柄でも必ず機能するわけではありません。過信すると、市場に大きな影響を与える経済指標の発表時や、予期せぬニュースが出た場合など、分析結果と異なる値動きが起きた際に対応が遅れてしまいます。
あくまでも一つのテクニックとして、他のテクニカル分析と組み合わせながら、売買の判断材料として活用する姿勢が重要です。
- 実際に使いこなせず諦めてしまう人も一定数いる
マルチタイムフレーム分析は複数の時間足を同時にチェックする必要があるため、習得するのは決して簡単ではありません。慣れるまでは情報量の多さに圧倒され、かえって判断が難しくなるケースもあります。特に初心者のうちは、どの時間足をどの程度参考にするべきか、判断のさじ加減が難しいと感じるかもしれません。実際に使いこなせずに諦めてしまう人も一定数いるようです。
ただし、練習を重ねてしっかりと身につければ、トレードの予測精度を高める効果が期待できます。
マルチタイムフレーム分析のやり方
マルチタイムフレーム分析は、基本的に以下の4つのステップで進めます。
- 「長期足・中期足・短期足」の3つを決める
- 長期足で相場全体の大きな流れをつかむ
- 中期足でトレンドの方向性を確認する
- 短期足でエントリーポイントを決定する
まずは分析に使う時間足の組み合わせを決め、その後、長期足から順番に相場環境を読み解いていきます。各ステップを詳しく見ていきましょう。
1.「長期足・中期足・短期足」の3つを決める
マルチタイムフレーム分析では、大まかに3つ程度の時間足を用いて分析するのが一般的です。あまりに多くの時間足を同時に見ようとすると、情報過多になり、かえって判断に迷う原因となります。
例えば、数日から数週間にわたってポジションを保有する「スイングトレード」の場合、長期足には週足や日足を選び、中期足で4時間足、短期足で1時間足を見るといった組み合わせが考えられます。一方で、数秒から数分単位で取引を完結させる「スキャルピング」であれば、1時間足や30分足を長期足とし、中期足に5分足、短期足に1分足を活用するのが一般的です。
自身のトレードスタイルに合わせて、分析に使う時間足を選びましょう。
2.長期足で相場全体の大きな流れをつかむ
分析に使う3つの時間足を決めたら、まずは長期足のチャートを確認し、相場全体の方向性をつかみましょう。長い時間足のトレンドほど強く機能する傾向があるため、長期足のトレンドに沿ってエントリーすると、利益を狙いやすくなります。
反対に、長期足のトレンドに逆らったエントリーは、リスクが高くなりがちです。例えば、短期足で上昇トレンドに見えても、長期足では下降トレンドの一時的な戻りに過ぎない場合もあります。
長期足で上昇トレンドが発生していれば買いエントリー、下降トレンドであれば売りエントリーなど、まずは大まかな戦略を描きましょう。
3.中期足でトレンドの方向性を確認する
次に中期足を確認し、トレンドの方向性が長期足と一致しているかを確認しましょう。長期足のトレンドに乗ろうと考えるなら、中期足のトレンドも同方向である方が利益を狙える可能性は高くなります。

例えば、長期足で上昇トレンドを確認した場合、中期足でも同様に上昇トレンドが形成されていれば、トレンドの勢いが強いと判断でき、エントリーのチャンスが近いと考えられます。
一方、長期足が上昇トレンドであるにもかかわらず、中期足で下降トレンドが発生している場合や、レンジ相場となっている場合は、エントリーを見送る判断も必要です。
4.短期足でエントリーポイントを決定する
長期足と中期足の分析によってエントリーの方向性やタイミングを絞り込めたら、最後に短期足のチャートで具体的なエントリーポイントを決定します。

例えば、長期足・中期足ともに上昇トレンドで、買いでのエントリーを狙っているとしましょう。この場合、短期足で小さな下降トレンドを形成して価格が少し下がった(押し目)タイミングを狙ってエントリーすると、より有利な価格でポジションを持てる可能性が高まります。
なお、売りの場合も考え方は同様で、長期足・中期足が下降トレンドであれば、短期足で一時的に上昇した戻りを待って売りエントリーを検討します。
マルチタイムフレーム分析のメリット
マルチタイムフレーム分析をトレードに取り入れると、トレンドを把握しやすくなるほか、一定の根拠に基づいてエントリーや決済のタイミングを決められるようになるといったメリットがあります。
トレンドを把握しやすい
マルチタイムフレーム分析を活用すると、より広い視野で相場の流れを捉えられるため、トレンドを把握しやすくなります。

例えば、ある銘柄の1時間足チャートで、きれいな上昇トレンドが形成されているとしましょう。1時間足だけを見れば、逆張りでエントリーするのはリスクが高いため「買い」でのエントリーを検討するのが自然です。しかし、日足チャートを確認すると明確な下降トレンドが続いており、先ほどの1時間足で見えた上昇は、下降の流れにおける一時的な価格の戻し(調整局面)に過ぎなかった、というケースは少なくありません。
もし1時間足の情報だけで買いポジションを持っていたら、その後の本格的な下落に巻き込まれ、損失を出していた可能性があります。
また、短期足だけでは把握が難しいサポートライン・レジスタンスラインにも気づきやすくなります。

例えば、5分足で上昇トレンドが発生していると判断して買いエントリーしたところ、実は日足で過去に何度も反発している高値付近だった、というケースがあります。日足のレジスタンスラインを確認せずにエントリーすると、価格がすぐに反転して損失につながるリスクがあるため、長期足でのライン確認は欠かせません。
このように、マルチタイムフレーム分析を活用すれば、短期足だけでは気づきにくい長期的なトレンドの方向性を把握でき、だまし(テクニカル分析で導き出した売買サインと逆方向に価格が動く現象)の回避にもつながります。
サポートライン・レジスタンスラインについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
⏩️サポートライン・レジスタンスラインの引き方・活用法|Fintokeiの「最大損失ルール」も解説
エントリーや決済のタイミングを根拠を持って決められる
複数の時間軸で相場を分析すれば、エントリーや決済のタイミングを明確な根拠を持って判断できるようになります。
「なんとなく上がりそう」「そろそろ下がりそう」といった感覚的な判断ではなく、「長期足・中期足ともに上昇トレンドで、短期足で押し目を形成したから買いエントリー」といった論理的な判断が可能です。こうしたルールに基づいたトレードを繰り返せば、毎回の取引に再現性が生まれ、ギャンブル的な取引から脱却できるでしょう。
なお、マルチタイムフレーム分析は、6つの法則で相場の動きを捉える「ダウ理論」とも相性が良いとされています。ダウ理論でトレンドの方向性を判断し、マルチタイムフレーム分析で複数の時間足からトレンドの継続を確認すれば、より精度の高いエントリー判断につながるでしょう。ダウ理論について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
⏩️ダウ理論だけで勝てる?勝てない場合の対処法やFintokeiで使えるトレード手法を解説!
マルチタイムフレーム分析におけるコツ
マルチタイムフレーム分析をより効果的に活用するためには、以下のポイントを意識してみましょう。
- 上位足の流れを重視する
- インジケーターを活用する
これらのコツを押さえることで、分析の精度をさらに高められます。
上位足の流れを重視する
マルチタイムフレーム分析では、上位足(長期足)の流れを重視しましょう。
長期足は短期足の集合体です。日足のローソク足1本は、1時間足のローソク足24本分の値動きを反映しています。つまり、長期足にはスキャルピングからスイングトレードまで、さまざまなトレードスタイルのトレーダーによる思惑が反映されていると考えられるでしょう。
そのため、短期足の値動きは上位足の影響を受ける可能性が高くなります。短期足でトレンドが発生していても、上位足のトレンドと逆方向であれば、すぐに反転するリスクがあるため注意が必要です。マルチタイムフレーム分析で相場全体のトレンドを把握する際は、上位足の方向性を優先することが重要です。
インジケーターを活用する
マルチタイムフレーム分析の精度を高めるには、インジケーターの活用が効果的です。
インジケーターとは、過去の価格データをもとに相場の状態やトレンドを分析するためのツールで、チャート上に表示して売買の判断材料として使用します。ローソク足だけでは読み取りにくいトレンドの強さや転換点を、数値やラインで客観的に確認できるため、より精度の高い分析を実現できます。
代表的なインジケーターは以下の通りです。
- 水平線:高値同士・安値同士を結んだ線で、目標値や反発の目安となる
- 移動平均線:一定期間の価格の平均値を線で表したもので、トレンドの方向や強さの判断に役立つ
- トレンドライン:高値同士・安値同士を結んだ線で、トレンドの方向性の判断に役立つ
- RSI:買われすぎ・売られすぎを数値で示したもので、相場の過熱感の判断に役立つ
- MACD:2本の移動平均線で構成されており、トレンドの方向性や転換点、売買のタイミングの判断に役立つ
特に水平線や移動平均線は、多くのトレーダーが意識しており、価格が反応するポイントとして機能しやすい傾向があります。複数の時間足でこれらのインジケーターを確認し、各時間足における違いなどをチェックしましょう。
移動平均線を使ったマルチタイムフレーム分析について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
⏩️【テクニカル分析】移動平均線を使ったマルチタイムフレーム分析を解説
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まとめ
マルチタイムフレーム分析は、複数の時間足を組み合わせて相場を分析する手法です。単一の時間足だけでは気づきにくい長期的なトレンドを把握できるため、より根拠のあるトレード判断が可能になります。
ただし、マルチタイムフレーム分析は初心者がすぐに使いこなせるものではなく、繰り返しの練習が欠かせません。Fintokeiのデモトレード環境を活用すれば、実際の資金をリスクにさらすことなく、納得いくまで分析と検証を繰り返せます。まずは無料トライアルを活用して、根拠に基づいたトレードスキルの習得を目指してみてはいかがでしょうか