MACDとは?基本的な見方や移動平均線と組み合わせた取引手法も紹介!

MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、移動平均線をもとにして作られたオシレーター系インジケーターです。

RSIやストキャスティクスのような他のオシレーターと違って、トレンドの把握を得意としていることもあり、多くのトレーダーに利用されています。

「MACDでどのように売買をしていけばよいのか分からない」

「MACDをより有効に活用する方法はないのか」

MACDと聞くと、上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

MACDは移動平均線と見方が似ていることもあり、3つのポイントさえ抑えれば簡単にトレードに取り入れられるようになります。

また同じトレンド系インジケーターである移動平均線とも相性がよく、組み合わせて利用することで取引の精度を高められるのです。

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この記事では、MACDについて、概要から、見方や使い方、移動平均線と組み合わせたトレード手法に至るまで以下の6つの項目で詳しく解説していきます。

  • MACDとは
  • MACDを見る際に注目すべき3つのポイント
  • MACDと移動平均線は相性がいい
  • MACDと移動平均線を組み合わせた取引手法
  • MACDと移動平均線を組み合わせる際の2つの注意点
  • まとめ

MACDとは

MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、日本語では「移動平均線収束拡散」と呼ばれるように、移動平均線をもとにして作られたオシレーター系インジケーターです。

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移動平均線とは、一定期間における相場の平均価格を表すテクニカル指標です。MACDでは2本の移動平均線を用いて、売買タイミングを判断できます。

相場のトレンドが判断できる移動平均線を用いることもあり、RSIやストキャスティクスのような他のオシレーターと違い、MACDはトレンドの把握を得意としています。

またMACDでは、SMA(単純移動平均線)ではなく、直近の価格を重視して平均値を算出するEMA(移動平均線)が利用されるのも特徴の1つです。

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MACDを構成する3つの要素

MACDは、短期EMA(12期間)と長期EMA(26期間)をベースに算出される、以下の3つの要素から構成されています。

  • MACDライン:短期EMAと長期EMAの差を表す
  • シグナルライン:MACDラインの単純移動平均線
  • ヒストグラム:MACDラインとシグナルラインの差を表す

MACDラインは、短期EMAと長期EMAの差(短期EMAの値-長期EMAの値)を表します。

直近の価格に反応しやすいEMAを利用することで、売買タイミングが一早く分かるようになります。

シグナルラインは、MACDラインの値を単純平均化して表示されたラインです。一般的に9期間で平均値を算出し、MACDラインよりも少し緩やかなラインとなるのが特徴です。

MACDでは、主にMACDラインとシグナルラインの2つを使って売買タイミングを判断します。

またMACDラインとシグナルラインの差を表すグラフである「ヒストグラム」も表示されています。

ヒストグラムは、後で紹介するMACDラインとシグナルラインの交差を見る際に役立つ指標です。

MACDを見る際に注目すべき3つのポイント

MACDをトレードで利用する際には、以下の3つのポイントに注目してください。

  • MACDラインとシグナルラインの交差
  • MACDラインとシグナルラインが0ラインで交差
  • ダイバージェンス

その1:MACDラインとシグナルラインの交差

まずはMACDラインとシグナルラインが交差する場所に注目するようにしましょう。2つのラインの交差を見ることで、以下のようなサインが分かります。

  • MACDラインがシグナルライン上抜ける:上昇トレンドへの転換
  • MACDラインがシグナルライン下抜ける:下落トレンドへの転換

MACDラインがシグナルラインを上抜ける(ゴールデンクロス)と直近における相場価格の上昇が強まっているというサインになり、上昇トレンドへの転換を表します。

同様にMACDラインがシグナルラインを下抜ける(デッドクロス)と、下落トレンドへの転換を表します。

またMACDラインとシグナルラインの交差が0ラインよりも離れた場所で発生するほど、トレンド転換の可能性がより高まるのです。

MACDラインとシグナルラインが交差すると、ヒストグラムの値が0になるので、ヒストグラムを参考にして、交差しているかどうかを判断することもオススメです。

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その2:MACDラインとシグナルラインが0ラインで交差

MACDラインとシグナルラインが0ラインで交差する場所も、見るべきポイントの1つです。

0ラインとは、MACDの真ん中に表示されているラインであり、0ラインとの交差を見ることで以下のサインが分かります。

  • MACDラインとシグナルラインが0ラインを上抜ける:上昇トレンドの継続
  • MACDラインとシグナルラインが0ラインを下抜ける:下落トレンドの継続

MACDラインとシグナルラインがゴールデンクロスし、かつMACDの基準となる0ラインも上抜けるということは、上昇トレンドが強く、さらに継続する可能性が高いと分かります。

同様にMACDラインとシグナルラインがともに0ラインを下抜けるということは、発生した下落トレンドが強いことを表すのです。

MACDラインとシグナルラインの交差でエントリーを行い、0ラインとの交差でポジションを保有し続けるかどうかを検討するというのが、基本的なMACDの使い方となります。

その3:ダイバージェンス

ダイバージェンスとは、MACDの動きと為替レートの動きが逆になる現象であり、トレンド転換を示唆します。

例えば為替レートが上昇しているにもかかわらず、MACDが下落しているという場合は、上昇トレンドが終了に近づいているというサインなのです。

ダイバージェンスはポジション決済にも利用できることから、MACD1つでエントリーからポジション決済まで完結できるということを分かっていただけたでしょう。

MACDと移動平均線は相性がいい

MACDと移動平均線は、組み合わせると相性がいいインジケーターとして知られています。

MACDは移動平均線をベースとして作成されたインジケーターであるということもあり、オシレーターとしてだけでなく、相場のトレンドを把握するのにも適しています。

そのおかげもあってMACDでは、売買判断の把握から、トレンド転換の把握まで1つのインジケーターでこなせるのです。

しかしMACDのようなオシレーター系インジケーターは、強いトレンドが発生すると上下どちらかに張り付いてしまうという欠点があります。

そこで移動平均線の傾きを見てトレンドの強弱を判断することで、MACDを使った取引の精度をより高められるのです。

MACDと移動平均線を組み合わせた取引手法

それではMACDと移動平均線を組み合わせた取引手法を実際に見ていきましょう。

MACDと組み合わせる移動平均線は100期間、200期間のような中・長期のものが適しています。

MACDのベースとなっているEMAは、12期間(短期EMA)・26期間(長期EMA)と比較的短期間のものです。

短期のトレンドはMACDで把握し、中長期のトレンドを移動平均線で把握するという使い方をしていきます。

具体的には、長期移動平均線が上を向いているタイミングで、MACDラインがシグナルラインを上抜け(ゴールデンクロス)したら買いエントリーをします。

逆にMACDラインがシグナルライン下抜けたのを見て売りエントリーをしたい場合は、長期移動平均線が下を向いているかどうかをエントリー前に確認してください。

長期移動平均線付近でMACDが交差するかどうかも見る

長期移動平均線付近でMACDが交差するとトレンド転換が発生する可能性が高いので、長期移動平均線付近でMACDが交差するかどうかも注目してみてください。

100期間、200期間のような長期移動平均線は、多くのトレーダーによって意識されていることもあり、相場においてサポートやレジスタンスとして機能する場面が多いです。

押し目や戻りの形成時に、長期移動平均線がサポートやレジスタンスとして機能している箇所で、MACDの売買サインが発生すると取引の精度が高まるのです。

具体的には、押し目として相場価格が下落し、長期移動平均線がサポートとなった際に、MACDラインとシグナルラインが交差するタイミングで買いエントリーを行います。

MACDと移動平均線を組み合わせる際の2つの注意点

MACDと移動平均線を組み合わせる際には、以下の2点に注意するようにしましょう。

  • だましが発生することがある
  • 決済タイミングが分かりくい

その1:だましが発生することがある

MACDと移動平均線を使ったトレード手法が必ず成功するわけではなく、時にはトレーダーをだますような値動き「だまし」が発生することもあります。

特にMACDと移動平均線はどちらもトレンドの把握に特化したインジケーターであるということもあり、レンジ相場には弱い傾向にあるのです。

移動平均線が横這いとなっているのかを見ることで、MACDだけでは確認しづらいレンジ相場であるかどうかを判断しやすくなります。

しかしMACDを利用する際は、レンジ相場はなるべく避けて、トレンド相場で利用することがオススメです。

その2:決済タイミングが分かりくい

MACDと移動平均線を組み合わせる取引手法の欠点として、決済タイミングが分かりにくい点が挙げられます。

MACDのダイバージェンスや、移動平均線と相場価格との乖離など決済タイミングとして利用できるサインはもちろんあります。

しかし両者ともトレンド系インジケーターであることもあり、相場の過熱感を正確に把握することはできないのです。

したがって相場の過熱感を把握して決済タイミングをより正確に判断するためにも、RSIやストキャスティクスなど、他のオシレーター系インジケーターと組み合わせるのがオススメです。

まとめ

MACDについて、特徴から、基本的な使い方、移動平均線と組み合わせた実際の取引手法に至るまで詳しく解説してきました。

MACDはオシレーターの中でもトレンドの把握を得意としたテクニカル指標であり、エントリーから決済までを1つでこなせる万能な取引ツールです。

またMACDと移動平均線は相性が非常によく、組み合わせて利用することで取引の精度をより高められます。

しかし時にはだましが発生する可能性があることもあり、MACDと移動平均線を使った売買サインが時には有効に機能しないことも覚えておかなければなりません。

リスク管理をしっかりと行った上でMACDと移動平均線を組み合わせることで、よりリスクを抑えて期待値の高いトレードを続けられるようになるでしょう。

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