ボリンジャーバンド3σの本質的な意味とは?3σを使った3つの取引手法も紹介

ボリンジャーバンドは、σラインとセンターバンドで構成されており、σラインには、1σ、2σ、3σの主に3種類があります。

2σ、3σラインに相場価格が収まる確率は計算上95%を超えていることもあり、この確率を利用して逆張り取引をしている方も多いことでしょう。

たしかに95%という確率は計算上正しいのですが、取引で確率を利用する際はσラインが示す本質的な意味を理解しておかなければなりません。

「3σラインの本質的な意味とは何か」

「具体的にどうやって3σラインを取引に使えばよいのか」

ボリンジャーバンドの3σラインの本質的な意味と聞くと、上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

結論、σラインは過去の相場価格を基に計算されているだけにすぎず、今後永遠に3σラインに高確率で相場価格が収まるわけではないのです。

この記事では、ボリンジャーバンドの3σラインについて以下の8つの項目で詳しく解説していきます。

  • ボリンジャーバンドとは
  • ボリンジャーバンドのσラインとは
  • ボリンジャーバンドのσラインに価格が収まる確率とは
  • ボリンジャーバンドの3σラインが表す意味
  • ボリンジャーバンドの3σラインを超える2つのケース
  • ボリンジャーバンドの3σラインを見る際に覚えておくべき形
  • ボリンジャーバンドの3σラインを使った3つの取引手法
  • まとめ

ボリンジャーバンドとは

ボリンジャーバンドとは、投資家「ジョン・ボリンジャー」によって開発されたインジケーターです。

トレンドの把握に役立つことから、移動平均線と同じくトレンド系のインジケーターに分類されます。

ボリンジャーバンドを構成する要素は、センターバンドとσラインの2つです。

センターバンドは移動平均線であり、傾きや相場価格との位置関係を見ることでトレンドの方向性が分かります。

後に詳しく解説しますが、σラインは価格のばらつきを表しているので、σラインが拡大するとボラティリティが高まっていると分かります。

ボリンジャーバンドの基本的な知識については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

ボリンジャーバンドとは?見方やテクニカル分析での使い方を解説!

ボリンジャーバンドのσラインとは

ボリンジャーバンドのσラインについてさらに詳しく見ていきましょう。

ボリンジャーバンドのσラインは「標準偏差」を使って、以下のように計算されます。

±Nσ = n日の移動平均線 ± n日の標準偏差 × N

標準偏差とは、データのばらつきを表す統計学的な指標です。ボリンジャーバンドに使われている標準偏差の計算式は以下の通りです。

標準偏差 = √1/n × Σ(n日間の各終値 – n日間の終値の平均値)^2

n日間における終値データが、平均値と比べてどれだけ散らばっているのかを表していることが分かります。

標準偏差、つまり価格のばらつきが大きくなるほどσラインの値が大きくなるので、ボラティリティが高まるとσラインは拡大するのです。

ボリンジャーバンドの計算式については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

ボリンジャーバンドの計算方法を解説!標準偏差が表す意味も紹介!

ボリンジャーバンドのσラインに価格が収まる確率とは

ボリンジャーバンドのσラインの拡大・縮小を見ることでボラティリティの高まりが分かります。

その他にも、σラインの計算に標準偏差が使われていることで、σラインに価格が収まる確率も以下の表のように計算できるのです。

バンド名価格が収まる確率
±1σ約68.3%
±2σ約95.4%
±3σ約99.7%

σの値が大きくなるほど、より大きな標準偏差が足したり引かれたりして計算されるので、バンド内に相場価格が収まる確率が高くなります。

3σラインにもなると約99.7%と非常に高い確率で相場価格が収まるので、3σラインを利用した逆張り取引はベーシックな取引手法として知られています。

ボリンジャーバンドを使った逆張り手法を紹介!逆張りが使える状況も解説!

ボリンジャーバンドの3σラインが表す意味

ボリンジャーバンドの3σラインに相場価格が収まる確率は約99.7%です。

したがって相場価格がボリンジャーバンドの3σラインを上回る、または下回ることは計算上、わずかな確率であることになります。

しかし実際の相場では3σラインを超える、または下回って相場価格が推移することが度々あります。

その理由はボリンジャーバンドのσラインは、あくまで過去の相場価格をもとに計算されているだけに過ぎないからです。

一般的にボリンジャーバンドは20日間の終値をもとにσラインが計算されます。

したがって過去20日間の動きが非常に小さい状況で、大きな値動きが急に発生すると3σラインを超えて推移することもあるのです。

σラインは過去の価格を基にライン内に収まる確率を計算しているだけにすぎず、未来の相場変動の確率を示しているわけではないことは覚えておきましょう。

ボリンジャーバンドの3σラインを超える2つのケース

相場価格がボリンジャーバンドの3σラインを超えるケースとして、以下の2つが考えられます。

  • レンジ相場で価格が急変動
  • トレンドの勢いが強くなる

その1:レンジ相場で価格が急変動

1つ目はレンジ相場で価格が急変動した場合です。

レンジ相場とはボラティリティが非常に低い状態なので、過去の相場状況をもとに計算される1σから3σラインの差がそれほどなく、ほぼ等間隔の平行線状となります。

したがってレンジ相場から急なトレンドが発生すると、簡単に1σから3σラインを上回ることがあるのです。

またトレンド発生でなく、レンジ相場継続であっても価格の急変動により、一時的に3σラインを超えて、すぐに価格がσライン内へ戻されることがあります。

その2:トレンドの勢いが強くなる

2つ目は強いトレンドの勢いが強くなる場合です。

通常ゆるやかなトレンドが発生すると、±1σと±2σラインの間で相場価格が推移し始めます。

そして徐々にトレンドの勢いが強くなると±2σラインだけでなく、±3σラインを超える、または下回って推移しだすのです。

3σラインを超えて相場価格が推移している状況は、過去の相場と比べて相当強いトレンドが発生していると判断してください。

ボリンジャーバンドの3σラインを見る際に覚えておくべき形

ボリンジャーバンドの3σラインを見る際には、以下の2つの形を覚えておきましょう。

  • バンドウォーク
  • ボージ

その1:バンドウォーク

バンドウォークとは、相場価格が±2σ、±3σライン付近を沿うように推移している状態です。

センターバンドへ戻ることなく、広がったσラインに沿って相場価格が推移することから強いトレンドが発生しているサインになります。

バンドウォークは、だましが発生したり、後付けの理論と言われたりすることもあります。

3σラインに沿って価格が推移していることは、相当強いトレンドなので3σを基準にするとバンドウォークのだましに遭うリスクを抑えられます。

ボリンジャーバンドのバンドウォークについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

ボリンジャーバンドのバンドウォークとは?判断方法やトレードでの活用方法を解説!

その2:ボージ

ボージとは、ボリンジャーバンドのバンド幅が最も大きく拡大している状態、つまりトレンドのピークを表すサインです。

トレンド転換時、ボリンジャーバンドではトレンドと反対方向のバンドが先に収縮する傾向があります。

つまり3σラインは、σラインの中で最も早く収縮するのでボージのサインを見極めるのに最適なのです。

ボリンジャーバンドのボージについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

ボリンジャーバンドのボージとは?見極め方やトレードでの活用方法を解説!

ボリンジャーバンドの3σラインを使った3つの取引手法

  • ボリンジャーバンドの3σラインで順張り
  • ボリンジャーバンドの3σラインで逆張り
  • ボリンジャーバンドの3σラインで決済

その1:ボリンジャーバンドの3σラインで順張り

1つ目はボリンジャーバンドの3σラインを使った順張りです。

具体的にはボリンジャーバンドの3σラインを上回る、または-3σラインを下回ったタイミングで順張り取引をします。

3σラインを超えて価格が推移しているということは、相当強いトレンドが発生していると判断できるのがエントリー根拠です。

決済は買いの場合3σラインを価格が下回ったタイミング、売りの場合-3σラインを上回ったタイミングで行います。

また買いの場合は3σラインを下回る、売りの場合は-3σラインを上回ったタイミングで損切りをします。

ただし3σラインを超えているということは、トレンドの中盤または終盤からのエントリーになるケースが多いので、決済や損切りは細かく行いましょう。

その2:ボリンジャーバンドの3σラインで逆張り

2つ目はボリンジャーバンドの3σラインを使った逆張りです。

±2σラインを利用した逆張り取引は、ボリンジャーバンドのオーソドックスな手法として知られていますが、今回は2σラインではなく3σラインを利用します。

使い方は2σラインと同様、3σラインにタッチで売りエントリー、-3σラインにタッチで買いエントリーを行います。

決済のタイミングは、±1σラインまたはセンターバンドタッチです。

損切りは、売りの場合3σラインを上回る、買いの場合-3σを下回るタイミングです。

ただし、±3σラインを超えて価格が一時的に推移しても、すぐにライン内に価格が収まる「だまし」のような値動きが発生することもあります。

だましに遭わないためにも、上位足の相場がレンジ相場であるかも確認しておくとより取引精度を高められます。

その3:ボリンジャーバンドの3σラインで決済

3つ目はボリンジャーバンドの3σラインを使った決済です。

ボリンジャーバンドの3σラインはエントリーだけでなく、ポジションの決済にも利用できるのです。

3σラインを超えて価格が推移する確率は計算上低いので、順張り方向にポジションを保有している場合、3σラインを決済の目安にします。

具体的には、±3σラインへタッチしたタイミングで決済をします。

ただしσラインは過去の相場価格をもとに計算されたにすぎないので、強いトレンドが発生すると3σラインを超えて相場価格が推移することはもちろんあります。

トレンドの強さも考慮した上で、3σラインを決済の目安として利用してください。

まとめ

ボリンジャーバンドの3σラインについて、3σラインの意味から具体的な取引手法に至るまで詳しく解説しました。

ボリンジャーバンドの3σラインに相場価格が収まる確率は約99.7%と非常に高く、この確立を利用して逆張り取引をすることも可能です。

ただしσラインは過去の相場価格を基に計算されているだけにすぎないので、今後ずっと3σラインに約99.7%の確率で相場価格が収まるわけではないのです。

未来の価格変動の確率を示しているわけではないことを理解して、3σラインを取引に利用するようにしましょう。

3σラインを決済の目安として利用することが最もリスクが低いので、特に初心者の方は決済に使用するのがオススメです。

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